「デジタルコンテンツは脅威ではない」–グーグルが出版社と対話

前々職で出版社にいたからこの問題を取り上げないわけには行かない。
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20341118,00.htm
出版業界はこの好景気においても90年代の不景気から抜け出せないでいる。
少子化の影響、本を読まない人口比率の上昇、媒体がデジタルに移行したことによる収益悪化が主な要因だ。
少子化の影響はもうどうしようもない。辞書や教科書という出版の分野において少なからず大きなパーセンテージがある分野で購入する層が少なくなることは大きな問題である。とりわけ、教科書は現時点において紙媒体しかないわけだから印刷業界を含めてなおさら深刻な問題である。
次に本を読まない人口比率の上昇については、啓発というレベルではどうにもならないのかもしれない。趣味の多様化によって読書という行為が1日のしめる時間の割合の中で確実に減ってきている。出版社はもっとユーザーの需要を汲み取って幅広い展開をしていかなければならないのかもしれない。(もちろんオンデマンド印刷などニーズに追いつこうという努力をしていることは忘れてはいけないが、時間の流れに追いついていないのだ)
最後の問題がもっとも深刻で、すぐにでも解決すべき問題である。出版社は紙という媒体によって収益を得ているといっても過言ではなく、コンテンツ自体をうまくコントロールするということに慣れていない。つまり出版物は紙である必要があるのだ。辞書にしても紙からデジタルへの移行期において、コンテンツというものに対していくらくらいの価値があるのかといったことには無頓着で、付加価値的なもという捕らえ方が大きかった。そのため、電子化するにおいてはかなり安い金額でハードウエアメーカーに提供してしまったために、媒体移行に伴って売り上げを立てにくくなってしまったのである。
だからこそ、Googleの唱えることはもっともなのであるが、そう入ってもそうしてしまえば確実に自分たちは生きていけなくなる(出版物が紙である以上は再販制度というものによって自分たちの生活が守られているからだ)。そうなると新しい知的創造が行われなくなり、結果的には人間社会全体で不利益をこうむってしまうというのが出版社側の考えだ。だからこそデジタル分野においても確実に収益を上げられるような構造を早急に考え出す必要があるのだ。

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